幕間〜帰路暴露〜
「ほら、鈴仙さん。ちゃんと一人で歩いてくださいよ〜。」
「うみぁ〜・・・」
超時が困った声を出すが鈴仙は聞く耳を持たずに超時に執拗にもたれかかってくる。
屋台から出て数分、鈴仙は完全に酔いつぶれてしまい、超時とてゐに肩をもってもらえなければまともに歩けない状態になってしまった。
「鈴仙ってば相変わらずほんと酒に弱いんだから・・・それなのにいつもがぶ飲みするし…。」
「そうなんですか…まったく、節度を守って飲んでもらいたいですね。あぁ、重たい…」
てゐのボヤキに超時が賛同する。するとそれに対して鈴仙が顔をあげ不服そうな表情を浮かべ、
「む、重たいとは失礼な。こう見えても私は月にいたころはそれはそれは厳しい訓練をして、重たくなんか全然ないれすよぉ。」
(そんなべろべろな状態で言われてもなぁ…それにしても)
「…月、ですか。」
「そうれす。私はれっきとした月ウサギれす。」
「そうなんですか…。」
(もはやそんなことじゃ驚かなくなったなぁ…これも幻想郷に慣れたってことなのかな…。)
「超時さんがここに来るちょっと前に月で大きな戦争が起こってですね…そこで私は命からがらこの幻想郷まで逃げてきたんれす。」
「そんな重い話…そんな簡単に話しちゃって大丈夫なんですか?」
「ぶっちゃけ言いふらすことじゃないウサ。」
「ですよねー…。」
(うどんげさんってお酒が入ると口が軽くなっちゃうのかな…。)
「んでもって、この迷いの竹林を彷徨ってたら師匠と姫様に拾われ、今やこうしてこき使われているわけれふ。
そうそう、あの二人も月の民だったのれすよ。」
(そーなのかー。少し前から感じてたけどあの二人はどことなく普通の人とは違う気がしていたんだ…。)
「あの二人も結構苦労しているらしくてれすね、この幻想郷に来たのも月でポカしてその罰だとかなんとか、
裏切ってこっちに隠居しているとかでなーなーれす。」
(もはや何を言っているのかわからなくなってきたなぁ……隠居?もしかして永遠亭がこの竹林の奥深くにあるのとやっぱり関係が…?)
「竹林に、月からの民…なんだか僕の世界で有名な昔話みたいですね…。」
超時がそう言うが鈴仙に反応が見られない。どうやら眠ってしまったようだ。
「Zzz…」
「ありゃりゃ、完全に酔っ払って眠っちゃったか。しゃーない、超時、あんた鈴仙をおぶってやってよ。」
「僕がですか!?」
「だってあたし小さいんだもーん。」
(でもまぁ、今日は永遠亭のことをちょっとだけ知ることができたし、慧音先生や阿求さん、チルノさんたちにも出会えて
…たくさんの人と話したなぁ)
超時はちょっぴり満足した様子で、熟睡している鈴仙を背負い、てゐとともに永遠亭への帰路につくのであった。