幕間


「・・・君?・・・・・超時くーん。」

トントン、と超時の部屋の襖を叩く音が超時を目覚めさせた。

「ん…う〜ん…ふぁ〜い・・・・・あれ?」

むくりと起きだして襖の戸を開ける。・・・しかしそこに彼を呼ぶ者はおらず、代わりにいたのは・・・

「ZZz・・・」

すやすやと寝息を立てている鈴仙が、下着+Yシャツ一枚の姿で超時に背中を向けて眠っていた。

「う〜ん・・・」

寝返りをうった鈴仙がこちらを向いた。どうやらYシャツの下は何も着ていないらしく、胸元があらわになる。

「っ!?・・・あ、えと・・・失礼しましたー。」

小声で謝りつつ、静かに戸を閉めた。一気に目が覚めた超時は落ち着いてその戸を見て、

(・・・しまった。永琳さんの言っていた戸だったのか…。)

ドキドキする胸をおさえつつ、改めて超時は声のする戸へ向かった。超時が戸を開けるとそこには永琳が立っていた。

「こんな夜更けに御免なさいね。」

「いえ、別に…1〜2時間位眠れば大丈夫ですから。先ほども説明したとおり僕は・・・」

「半吸血鬼、だものね。まぁ、もともと吸血鬼なんて種族は夜に活動するのだから、当然といえば当然ね。」

「はい・・・でも、一体僕に何の用ですか?」

「実は貴方に頼みたい事があってね・・・姫様に夜食を作ってもらえないかしら?」

「僕がですか?別にかまいませんけど?」

「今のうちに姫様のご機嫌を取って、欲しい物があるんでしょ?」

「そ、そうですね。」

「台所に材料があるのはさっき夕食作ってくれたときに見て知っているわよね。姫様は縁側の奥の部屋にいるからそっちに運んで頂戴ね。」

「了解です。」

超時がそう言うと永琳はニコリと微笑んで去って行った。超時はその後着替えてすぐ台所へ向かった。





少年執事調理中。。。





(やっぱり夜食って言ったら鍋焼きうどんだよなぁ・・・)

そんな事を思いつつ超時はアツアツの鍋焼きうどんの乗った盆を持って輝夜の部屋へ向かっていた。

「輝夜さん?お夜食を持ってきました。」

輝夜の部屋の前で超時がそう呼びかけると中から輝夜の声が聞こえてきた。

「んー。入ってきて―。」

そんな彼女の返事を聞いた超時はゆっくりと襖を開け、その部屋の中に入った。

(うわぁ・・・。)

その部屋は6〜8畳くらいの和室のようで、畳を埋め尽くすように洗ってないと思われる食器や雑誌が乱雑に置かれていた。

お世辞にもキレイとは言い難いその部屋の中心に敷かれている万年床のような布団の上に輝夜は座っていた。

なにやら光る画面を見つめている輝夜はその画面を注視しつつ、

「そこに置いといてー。」

輝夜は指で机の上の空いたスペースを示し、超時は足元に気を付けながら輝夜の隣に近付き鍋焼きうどんを置いた。

そして超時はその光る画面を見て輝夜に問いかける。

「輝夜さん、それはもしかして・・・・・パソコンですか?」

「あら、貴方にもこれがわかるの?まぁ外の世界から来たのなら知っていても当然ね。」

「どうしてパソコンがここに?」

「河童からもらったのよ。この『いんたぁえっと』ってのはほんと便利よね。貴方もこれをやったことあるの?」

「もちろんです。僕の世界にもありましたし、実際僕も少し使ってたりしました。」
(多分『インターネット』のことだろうな・・・)

「ふーん。」

輝夜は関心なさそうに答え、超時の持ってきた鍋焼きうどんに手を伸ばす。

「これ…すごく美味しいわ。夕食もそうだったのだけど元の世界でも料理はやっていたの?」

「えぇ、まぁ。両親が共働きで家ではほとんど自炊に近いことをやっていました。」

「へぇ、しっかりしているのね。・・・そうでなきゃあんなところで執事として働けないものね。・・・辛いと思ったことはないの?」

「うーん、僕個人としては楽しんでやっているんで、辛いと感じたことはないですね・・・。」

「・・・・・そ。そう感じているのなら無理やりここへ働かせるわけにはいかないわねぇ。なかなか面白そうだと思ったのに・・・。」

「最初からそれが目的で僕をここで働かせようとしたんですか・・・。
 お言葉ですが、自分はさっさとここでの仕事を片付けてお嬢様のいる紅魔館に戻りたいと思っていますので。」

「・・・そっか。ほんと貴方って、あの吸血鬼のことを好いているのね。
 いや、むしろ吸血鬼の方が貴方を気に入っているのかも・・・?」

「はは、そんなまさか・・・。」

超時はそう誤魔化すも心の中では

(まさかお嬢様が?僕を?・・・だとしたら、いや、でも・・・!)

内心混乱し、たじろいでいると輝夜がうどんを平らげ、満足した様子で、

「んー、ごちそうさまでした。・・・さて、腹ごしらえも済んだことだし・・・貴方、格闘げぇむってのはできる?」

「え、あ、はい。多少はできると思います・・・。」

「少し付き合いなさい。最近は弾幕ごっこにも飽きてきたし、対戦相手がいなくて困ってたのよ〜。はい、こんとろぉらぁ。」

そう言うと輝夜はゲームのコントローラーを超時に手渡し、パソコンの画面を切り替えた。

その後夜が明けるまで輝夜と超時の二人は対戦格闘ゲームに熱を出すのであった。

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